世界と比較した日本の喫煙率、たばこに対する日本と各国の対策を紹介します!
たばこに関する注目は年々高まっており、日本国内だけでなく、世界で喫煙率の統計が取られています。
たばこに対する注目は、各国に差があるものの、WHO(世界保健機関)が出した世界保健機関枠組条約をもとに、それぞれの国が独自に対策を打ち出しています。日本もWHOの条約に署名し、政府主導のもと様々な対策を行っています。今回は日本と世界の喫煙事情の違いについてお話していきます。
日本の喫煙率ってどのくらい?
現在、日本でどのくらいの人々が喫煙をしているかご存じですか?
厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)が行った喫煙率の調査には日本の成人喫煙率が記されています。
“ 現在習慣的に喫煙している者の割合は、16.7%であり、男女別にみると男性 27.1%、女性 7.6%である。この10年間でみると、いずれも有意に減少している。 年齢階級別にみると、30~60歳代男性ではその割合が高く、約3割が習慣的に喫煙している。”
引用:厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)
その中でも、重度喫煙者と呼ばれる1日あたり21本以上吸っている人の割合は、男性では11.2%。女性では2.8%となっています。また男性の喫煙者の場合、1日に11~20本吸う人が最も多いという結果になりました。
対して女性は、1日あたり1~10本が一番多く、次いで11~20本という結果になっています。
世界と比較して日本の喫煙率はどうなの?
WHOが発表している2020年版の世界保健統計(World Health Statistics)では、2018年の各国の喫煙率のデータがでています。世界保健統計(World Health Statistics)の中で、日本は194ヶ国中76位という順位でした。対して、アメリカは56位、韓国は75位となっています。世界の平均喫煙率は23.6%で、日本はわずかに世界平均を下回っています。
では、どういった国が上位を占めているのでしょうか?
喫煙率1位の国はナウルという太平洋上にある小さな島国です。ナウル共和国の政府観光局日本事務所の公式Twitterはユーモアなツイートで話題になりましたね。このナウルの喫煙率は52.1%で、非常に高い数値となっています。次いでキリバス、ツバルと続き、太平洋にある島国で喫煙率が高い傾向があるようです。
とはいえ、まだまだ日本の喫煙率は高く、対策を行う必要があります。政府は「成人喫煙率を2022年までに12%まで引き下げる」という目標を掲げています。厚生労働省をはじめ、日本全体で禁煙の呼びかけや対策が行われているのです。もちろん、対策を行っているのは日本だけではありません。世界各国で禁煙にむけたたばこの対策が行われています。
各国のたばこ対策
【オーストラリア】
オーストラリアでは、国民の喫煙数減少を狙って、2017年から4年間、たばこにかかる税金を12.5%ずつ引き上げていくという方針が出されています。
そのため、現在では25本のたばこ1箱の値段がおよそ3,000円近くまで引き上げられています。オーストラリアの国民はもちろん、オーストラリアを訪れた旅行者の人も驚く値段ですよね。加えて、たばこのパッケージにグロテスクな写真を使用したり、危機感をあおるようなCMを使い、あの手この手で厳しいたばこ対策を行っています。
【イギリス】
イギリスでは、たばこ規制の一環として、たばこのパッケージの色をくすんだ緑褐色に統一するという規制を設けています。シンプルなパッケージに、前面と後面にたばこによる健康被害の警告を入れており、この警告が各面の65%を占めているのです。
また、イギリスもオーストラリアと同じように、箱の上の部分に生々しい写真を入れることを義務付けています。これは、人々の購買意欲をそぐもので、ブランドの名前も標準の書体で記載することしかできません。
ここではオーストラリアとイギリスを紹介しましたが、他の国でも同様の対策は取られています。例えばドイツでも、たばこのパッケージに「喫煙は死に至る」という警告文を入れたり、たばこによる健康被害を示すような直接的な写真をパッケージの3分の2を占めるように印刷しています。
また、歩きたばこや施設の禁煙などに力を入れている国もあります。こういった対策は、喫煙をしない人たちの受動喫煙を防ぐためでもあります。各国、たばこ自体の規制はもちろんのこと、たばこを吸わない人たちを守るような対策にも力を入れています。
各国の取り組みをたくさん紹介してきましたが、たばこ対策に積極的なのは日本も同じ。日本はWHOが作成した、たばこ規制に関する「世界保健機関枠組条約」に平成17年に署名しました。ではこの「世界保健機関枠組条約」、一体どんな条約なのでしょうか。簡単にご説明しますね。
条約の内容は、
・職場等の公共の場においてたばこから保護すること
・たばこのパッケージに誤解を与えるような表示をして販売促進しないこと、またパッケージの30%以上を占める健康警告表示を加えること
・たばこの広告、販売促進や後援をしないこと
・たばこ製品の不法取引の防止
日本以外の多くの国もこの条約に署名し、対策を行っています。それだけ、たばこに対する世界の注目は高いのです。日本もこの条約をもとに様々な対策を行っています。
日本のたばこ対策は?
1.たばこの増税
2018年4月 12.244円
↓
2018年10月 13.244円に増税
↓
2020年10月 14.244円に増税
↓
2021年10月 15.244円に増税
という形で、税率を1年で1円ずつ引き上げています。2018年から2021年の3年間で、1本あたり計3円、1箱あたり計60円値上げしているのです。一般的にたばこは1箱20本で、1日10本吸ってしまえば2日で無くなってしまいます。下手をすれば1日で1箱無くなってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうすると、家計にかなり影響が出てきてしまいます。60円くらい大したことない、と思ってる方も多いかもしれません。しかし、10箱も購入すれば600円も負担が増えてしまいます。年間で考えると、かなり大きな額になってしまいかねません。
実際、たばこの増税を機にたばこをやめた、という方もいるのではないでしょうか。
2.法律改正による受動喫煙の防止
たばこを吸っている人に健康被害が出てしまう可能性があるのはもちろんのこと、吐き出したり、たばこ自体から出る煙によって、周りにいる人が受動的に煙を吸って健康被害が出てしまう可能性があります。これを受動喫煙と呼びます。
受動喫煙は深刻で、受動喫煙が原因で肺がんや虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群で亡くなっている人がたくさんいます。特に、子供が受動喫煙をしてしまうと、呼吸器疾患や中耳炎、乳幼児突然死症候群を引き起こす可能性があります。女性の方なら、子供を妊娠したときに受動喫煙をしてしまうと、低体重児や早産のリスクが上昇してしまいます。
以前も、受動喫煙を防止する対策は取られていました。それが健康増進法です。これは生活習慣病の予防など、国民の健康増進のための法律です。2002年に制定され、たばこに関する記述もあります。2002年の時点では、受動喫煙対策は努力義務とされていましたが、分煙する取り組みが広がるきっかけになりました。公共交通機関やオフィスで、禁煙になったり、分煙化されたことが記憶に新しい方もいるかもしれません。
しかし2018年、望まない受動喫煙を無くすために「健康増進法の一部を改正する法律」が成立し、2020年4月1日から本格的に施行されています。
主なルールとしては、3つです。〇様々な施設が原則屋内禁煙になる
受動喫煙を防ぐため、人が集まる施設や鉄道、飲食店は原則屋内禁煙になりました。禁煙とされているエリアで喫煙をしてしまうと、罰則が科される可能性もあるので注意しましょう。
施設によっては決められた基準を満たした専用の禁煙室がある場合もあります。
学校や病院、福祉施設、行政機関、バス、航空機などは敷地内禁煙です。禁煙室を設けることもできません。このうち、学校、病院、福祉施設、行政機関の庁舎などは、一足先に法律が施行されています。
ただし、受動喫煙を防ぐための防止策がしっかりとされた場所に限り、喫煙場所を設置することができます。
〇20歳未満は、喫煙エリアへの立ち入り禁止
喫煙が目的でなくても、20歳未満なら喫煙エリアに入ることができなくなりました。お店の場合、従業員であっても20歳未満は立ち入りが許されません。
〇喫煙室がある場合には標識を掲示する
施設の中に禁煙できる場所がある場合、その施設の出入り口と、喫煙室の入り口に標識を掲示しなければなりません。お店に入る前に、お客さんが禁煙のお店と喫煙できるお店を選べるようにするためです。このようにたくさんの対策のもと、受動喫煙防止が進められています。「原則屋内禁煙になったら屋内で吸う場所がないじゃないか!」と思ってしまうかもしれませんが、そうではありません。法律で守られた以下2つの基準をクリアすれば、屋内であっても喫煙所を設けることができるからです。
・喫煙室の出入り口において、室外から室内に入ってくる空気の流れが、毎秒0.2m以上である
・たばこの煙が室外に出て行かないこと、煙を排出する場合は屋外や外部の場所に排気している
日本をはじめ、多くの国がたばこ対策を行っています。最初に話したように、日本の喫煙率は下がっていますが、まだまだ目標値には達していません。たばこは少なからず、様々な病気のリスクが高まってしまうものです。また、望まない受動喫煙などもあり、たばこを吸う人だけの問題ではなくなっています。
国や自治体では、禁煙をしたいと思っている人への支援や、サポートを行っている場合もあります。少しでも禁煙に興味がある方は、ぜひそういったサポートを活用してみてください。