タバコの種類について解説。紙巻タバコ・電子タバコ・加熱式タバコってどう違うの?
皆さんは「タバコ」というと、どのタバコを思い浮かべますか?おそらく、多くの方は紙巻タバコや電子タバコを思い浮かべると思います。
今の日本で主流なのは紙巻タバコや電子タバコです。この2種類に加えて、最近は紙巻タバコに代わる新しいタバコ「加熱式タバコ」にも注目が集まっています。
紙巻タバコ、電子タバコ、加熱式タバコ。これらは同じタバコでも、特徴やメリット、デメリットに大きな違いがあります。今回のコラムでは紙巻タバコ、電子タバコ、加熱式タバコの3つを中心に、タバコの種類について解説します。
紙巻タバコってどんなタバコ?
《メリット》
・メンテナンスが不要で手軽に吸える
紙巻タバコは、吸い終わったらすぐに捨てるので、電子タバコや加熱式タバコのようなメンテナンスが必要ありません。もっとも気軽に、そして手軽に吸えるタバコと言えます。
・豊富な商品ラインナップから選べる
主流なだけあり、商品のラインナップが充実しているのも紙巻タバコのメリット。メンソールやスイート系のフレーバーがついたものや、マイルドな味わいのフィルターの長いもの、コクのあるフィルターの短いものなど、様々な商品から選べます。中には、パッケージで選ぶ人もいるようです。
・健康への影響が大きくコストがかかる
紙巻タバコは、直接タバコ葉を燃やして煙を発生させるので、電子タバコや加熱式タバコに比べて、健康への影響が大きいと言われています。また、コストも大きくなりがちです。2020年にたばこ税が増税された時には、1箱あたり50円程度値上がりしました。今後、継続的に吸い続ける方ほど、増税の負担が顕著に現れるでしょう。
・吸える場所が少ない
また、最近は紙巻タバコを吸える場所が徐々に減ってきています。一方、電子タバコや加熱式タバコであれば吸うことを認めているお店があるので、今後は紙巻タバコよりも電子タバコや加熱式タバコのほうが吸いやすくなるかもしれません。
・メビウス
・セブンスター
・ピース
紙巻タバコは、刻んだタバコ葉を紙で巻いている、現代でもっともメジャーなタバコです。刻んだタバコ葉とフィルターを巻き合わせる「フィルターチップペーパー」、タバコ葉を包む「巻紙(まきし)」で構成されています。
紙巻タバコは、タバコ葉をブレンドしたり、香料を加えたりすることで、銘柄によって特有の味を作り出しています。日本では、バランスの良い香りや味が特徴の「アメリカンブレンド」が主流です。他には、香料が少なく、タバコ葉本来の香りを楽しめる「バージニアブレンド」、国産のタバコ葉を中心にブレンドした「ドメスティックブレンド」などがあります。
紙巻タバコには、通常フィルターがついています。「チップペーパー」と呼ばれるこのフィルターは、穴を開けるなどすることで、吸い込む空気の量を調整する役割を持っています。このフィルターによって味が変わったり、ニコチンやタールの量が減ったりします。
世界的には、洋服などにも使用されるアセテートという繊維を使った「アセフェートフィルター」が主流ですが、日本ではアセテートに活性炭(チャーコル)を混ぜ合わせて作られた「デュアルチャコールフィルター」が多く使われています。また、フィルターの表面に溝があり、煙と空気を同時に吸い込める「AFTフィルター」を使用した商品もあります。
フィルターによってニコチンやタールの量を変化させられるとはいえ、ニコチンやタールの量が少ないタバコは、かえって本数が増えたり、深く吸い込んだりすることに繋がります。このため、ニコチンやタールの量が少ない商品のほうが健康への影響が大きいと言われています。
電子タバコってどんなタバコ?
《メリット》
・コストパフォーマンスが良い
タバコ税が増税されている昨今は、電子タバコのコストパフォーマンスの良さが注目されています。紙巻タバコが1日あたり約1,5000円もかかるところ、電子タバコは1ヶ月で約2,000円。紙巻タバコから電子タバコに変えることで、どれだけコストダウンできるかが分かりますね。
・独特のニオイがなく吸いやすい
電子タバコは、タバコ葉を使っていないので独特のニオイがしません。タバコのニオイは、タバコ葉の成分であるタールが原因なので、タールを含むタバコ葉を使っていない電子タバコは、ニオイがしないのです。ニオイで周囲の人に迷惑がかからないので、吸いやすいですね。
・歯が黄ばむ心配がない
タールは歯が黄ばんでしまう原因でもあります。磨いても落ちにくいので、多くの喫煙者にとって悩みの種となっていますが、電子タバコならタールを吸い込まないので、歯が黄色くなりません。
・初期費用がかかる
電子タバコは、タバコを加熱するための本体費用がかかります。本体費用は安くて2,000円、高いと10,000円程度かかることも。購入してから合わないかもしれないことを考えると、気軽には手を出しにくい値段です。
・充電が必要
使用するためには定期的に充電をしなければなりません。充電の頻度はおよそ1日に1回ですが、充電し忘れるとタバコを吸えないので、禁断症状に悩まされたり、別に紙巻タバコや本体を購入したりする必要が生じます。
・取り扱い店舗が少ない
電子タバコは紙巻タバコや加熱式タバコに比べて、取り扱っている店舗が少ないので購入しにくいというのもデメリットです。しかし、最近は通販サイトで購入できるようになっていることから、購入場所に関するデメリットは解消されています。
・DR.VAPE(ドクター ベイプ)
・プルームS 2.0
・プルームテックプラス
電子タバコは「バッテリー」と、専用の液体(リキッド)を納める「カートリッジ」、液体を熱する「アトマイザー」、蒸気を吸う「吸い口」などで構成されています。カートリッジに入っているリキッドを加熱し、蒸気を発生させ、それを吸うのが電子タバコです。
電子タバコは、タバコ葉を使用していないという特徴があります。通常、リキッドに含まれているのは、プロピレングリコール、グリセリン、水、香料です。海外で流通している電子タバコの中には、リキッドの中にニコチンを含む製品がありますが、日本で流通している電子タバコは、そのほとんどがリキッドにニコチンを含みません。
電子タバコのもう1つの特徴として、日本では「タバコ製品」として扱われていないことが挙げられます。これは電子タバコが、タバコ葉を使っていないためです。カートリッジ内のリキッドは「医薬品」、液体を吸引する器具は「医療機器」に分類されています。販売するために厚生労働省の承認が必要なので、新規メーカーの参入が難しいと言われています。
電子タバコを利用する方は、その大半が紙巻タバコを吸っている方、もしくは過去に紙巻タバコを吸っていた方だそうです。特に日本の電子タバコは、ニコチンが含まれていない製品が多いので、健康上の理由で紙巻タバコから変更する方が多いと考えられます。
ただし、電子タバコも健康にまったく害がないとは言えません。国立保健医療科学院の調査によると、加熱した際にリキッドの成分に変化が生じて、ホルムアルデヒドをはじめとした有害な物質が発生すると言われています。
加熱式タバコってどんなタバコ?
《メリット》
・ニコチンの発生量が少ない
加熱式タバコは、タバコ葉こそ使っていますが、直接火をつけていないので、紙巻タバコに比べてニコチンの発生量が少ないというメリットがあります。また、タバコ葉を燃やさないので煙が出ません。
・タールの発生量が少ない
ニコチンと同様に、タールの発生も抑えられるので、紙巻タバコに比べると人体に悪影響が出にくいです。健康上のリスクや、周りの人への影響を考えた時に、紙巻タバコではなく加熱式タバコを選ぶという方が多いようです。
・タバコならではの味や香りを楽しめる
ニコチンやタールの発生量を抑えながらも、タバコ葉を使っている点は紙巻タバコと同じです。紙巻タバコと同様、タバコ葉本来の味や香りを楽しめます。
・ニコチン依存症から抜け出せるわけではない
加熱式タバコは、紙巻タバコよりニコチンの発生量を抑えられることから、ニコチン依存症を脱し、喫煙量を減らすという目標を持って使用する方が多いです。しかし、「加熱式タバコに変えたことで禁煙が成功した」という例は少ないようです。紙巻タバコから加熱式タバコへと変えたことで、依存症を抜け出せる方ばかりではないようですね。
・バッテリーの充電が必要
電子タバコと同様、電気の力でタバコ葉を加熱しているので、都度バッテリーを充電しなければなりません。さらに、万が一機器が壊れたら、電池爆発が起こるなどのリスクもあります。
・IQOS(アイコス)
・glo(グロー)
・Ploom TECH(プルームテック)
加熱式タバコは電池と、蒸気を発生させる「カートリッジ」、蒸気を吸う「吸い口」などで構成されています。電子タバコに似た形状をしていますが、電子タバコと違って、中身には紙巻タバコと同じ「タバコ葉」を使っています。このタバコ葉を電気の力で加熱することで、煙を発生させます。近年、紙巻タバコに変わる新しいタバコとして注目されているタバコで、利用する方が増えています。
加熱式タバコは、さらに低温加熱式タイプと、高温加熱式タイプに分けられます。
・低温加熱式タイプ
タバコ葉を直接加熱せず、リキッドを加熱させたり、霧化させたりすることで蒸気を発生させるタイプです。高温加熱式タイプに比べて、ニオイが少ないという特徴があります。
<>strong>・高温加熱式タイプ
ヒーターを用いてタバコ葉を直接加熱するタイプです。低温加熱式タイプに比べて、喫味が強いという特徴があります。
いくつ知ってる?現代日本では珍しいタバコの紹介
現代で一般的に吸われているのは、今ご紹介した紙巻タバコ、電子タバコ、加熱式タバコですが、それ以外にも、タバコにはたくさんの種類があります。
ここからは、ちょっとマイナーなものも含めたタバコの種類をご紹介しますね。
《自宅でゆっくり楽しむ水タバコ》水パイプという喫煙具を使用して、喫煙します。シーシャや、水煙管(みずぎせる)、水パイプのような呼称もあります。タバコを燃やす「火皿」、煙が通る「管」、水を溜める「壺」、煙を吸う「ホース」などで構成されています。
フルーツやスパイス、花、コーヒーなど、専用のフレーバーがつけられたタバコ葉を熱し、発生した煙を、ガラス瓶の中の水を通して吸うのが水タバコです。香りを楽しむためのタバコと言えるでしょう。また、1回1時間前後という長時間楽しめるのも、水タバコの特徴です。
水タバコの成分は、半分がタバコの煙、もう半分がシロップの蒸気という構成になっています。サイズが大きく、小さなものでも高さが30cmにも達します。重量もあるため、持ち運びには向きません。主に自宅で楽しむタバコです。インドや中近東で主に使われていて、日本ではあまり見かけません。
《気軽に吸える無煙タバコ》文字通り、煙が出ないので気軽に吸いやすいタバコです。「嗅ぎたばこ」と「噛みたばこ」の2種類があります。
・嗅ぎたばこ
タバコの葉を細かく砕いたものを、鼻腔内に吸い込んで摂取します。一部の製品にはフレーバーが添加されているので、フルーツ系、フローラル系、メンソール系などの香りを楽しめます。
・噛みたばこ
石灰や香料、ハーブ、甘味料などと組み合わせ、加工したタバコ葉を口に含み、噛むことで使用します。その際に出る唾液は飲み込まず、吐き出します。
「煙が出ないなら健康被害も少ないはず…」と思われるかもしれませんが、無煙タバコには300種類以上の化学物質が、約30種類の発がん性物質が含まれていると言われています。紙巻タバコと同様、健康に影響があると言えるでしょう。ニコチンへの依存のしやすさなども、紙巻タバコと同じくらい強力です。
《雰囲気重視の方にぴったりな葉巻》
タバコ葉を筒状に巻いたものです。もっとも歴史が古いタバコの1つと言われています。日本では、明治維新後に欧米から輸入されるようになりました。著名人だと、政治家の吉田茂や作家の馳星周、お笑いタレントの松本人志が、葉巻愛好家として知られています。
葉巻は、紙巻タバコに比べて長い時間吸い続けられるので、タバコの香りをゆっくりと楽しめます。また、先端をカットしてゆっくりとくゆらすという、独特の楽しみ方ができるのも葉巻ならではのメリットです。
原材料や製造方法によって、「プレミアムシガー」と「ドライシガー」の2種類に分けられます。
・プレミアムシガー
100%タバコ葉を使用しています。保管するためには湿度と温度を管理する必要がありますが、ハンドメイドの高級品で、独特の味と香りがあります。
・ドライシガー
機械巻で、常温での保管ができる葉巻です。プレミアムシガーに比べて管理がしやすいというメリットがあります。ドライシガーの中でも、紙巻タバコに似た形状をしたものは「リトルシガー」と呼ばれます。
刻みタバコを詰める火皿がついた「雁首(がんくび)」、煙を吸う「吸い口」、雁首と吸い口を繋ぐ「羅宇(らう)」で構成されています。雁首に刻みタバコを詰めて火を点け、吸い口から吸います。羅宇の部分に竹や木を用いた「羅宇キセル」と、すべてが金属でできている「延べキセル」があります。
日本において、キセルは主に江戸時代に使われていました。吸い口に彫刻などの装飾が施されているものもあり、江戸時代の人々の間では、個性を表すファッションアイテムとしても使われていました。また、キセルを持ち運ぶタバコ入れにも様々な種類があり、キセル本体と同様、強いこだわりを持つ方が多かったそうです。
日本のキセルには「細刻み」という髪の毛ほどの細さに刻んだタバコ葉が使われています。細刻みタバコは、マイルドな吸い味と軽い味わいが特徴。日本独自の技術や工程によって作られます。
現在はキセルを使用している人は少なく、製造業者も減少しています。しかし、香料を使わない刻みタバコ本来の自然な味を吸う方法として最良であることや、吸い方によっては紙巻タバコより低価格で吸えることから、キセルを好んでいる方もいます。
また、紙巻タバコの吸い殻を再利用するために、キセルを利用するケースもあるようです。
《長く愛され続けているパイプ》
火を点ける「ボウル」、煙を伝える「ステム」、吸い口部分にあたる「マウスピース」で構成されています。キセルに似た形状ですが、キセルよりも短く、丸みがあります。日本では明治・大正期や高度成長期など、過去に何度かパイプが流行した時期がありました。現在も、比較的愛好家が多いタバコです。深い味わいと香りを楽しむことができるという特徴があります。
パイプは、材質、形状、仕上げによって分類されます。材質による分類は、ツツジ科の植物の木の根部分を素材として使用した「ブライヤーパイプ」、海泡石を素材として使用した「メシャムパイプ」、トウモロコシの芯を素材として使用した「コーンパイプ」などがあります。
形状による分類は、煙道の形状による「ストレート」や「ベント」、ボウルの形状によるビリヤード、アップル、ポット、ブルドッグの名を複合し、「ストレートビリヤード」などと表されます。
仕上げによる分類は、表面を平滑に仕上げた「スムース」、木目を立体的に浮かび上がらせた「サンドブラスト」、文様を刻んだ「ラスティック」などがあります。
私達が普段吸っているのとは違う、いろいろなタバコがあるのは面白いですね。あまり目にするものではありませんが、どこかで見かけたら、試しに購入して使ってみてはいかがでしょうか?新しいタバコの楽しみ方を知ることができるかもしれませんよ。
ただし、どのタバコも吸い過ぎるのは体に良くありません。楽しむ時は健康のことを考えて、適度な頻度で吸ってくださいね。