タバコに含まれるニコチンが有害って言われているのはなぜ?

公開日: 2021.06.08
更新日: 2021.10.12
タバコに含まれるニコチンが有害って言われているのはなぜ?
目次

タバコには、「ニコチン」と呼ばれる物質が含まれていることは有名ですね。タバコに害があると言われているのは、このニコチンが原因の一種であることも、皆さん何となくご存知だと思います。しかし「なぜ有害か」という具体的な理由は、意外とよくわかっていないのではないでしょうか。

今回のコラムでは「タバコに含まれるニコチンが有害だと言われている理由」について解説します。

ニコチンはなぜ有害?

喫煙している方でも、そのほとんどの方が、「タバコが良いものではない」という認識をお持ちかと思います。タバコが健康に害を及ぼすというのは、有名な話ですよね。

それなのに、なぜ一度タバコを吸い始めると、禁煙することが難しいのでしょうか?こちらも多くの方がご存知の通り、「依存性があるから」というのが理由です。

では何が依存性を引き起こしているのでしょうか。それはニコチンです。吸い込むことで「ニコチン受容体」という物質と結びつき、脳内に「ドーパミン」という物質を大量に放出します。

このドーパミンという言葉、どこかで耳にしたことがあるかもしれません。ドーパミンとは、私達にやる気や幸福感をもたらしてくれる物質です。ドーパミンが増えると、ポジティブな気持ちになれる、集中力がアップするなどの効果があります。これだけ聞くと、タバコを吸ってドーパミンが放出されることは、悪いことではないように思えますね。

しかし、ニコチンを吸った時に放出されるドーパミンの量は、適量ではありません。「過剰」なので、ドーパミンの放出によるメリット以上に、依存性による悪影響のほうが強くなってしまいます。タバコを吸うことで強い幸福感や快感、安心感などを味わえるので、体に良くないと知っていながらも、吸うのをやめられなくなってしまうというメカニズムです。

さらに、この「過剰」なドーパミン放出によって、タバコを吸わないとイライラする、落ち着かないなど、いわゆる「禁断症状」と呼ばれる症状が現れることもあります。

このようにニコチンは、健康に悪影響を与えるというより、依存性によって禁煙を難しくしてしまうことから有害と言われています。

ちなみに、吸い込んだニコチンが体内から消えるまでの時間は約30分です。依存症の人は、30分の間隔で喫煙しないと、禁断症状に悩まされてしまうわけです。仕事中にタバコを吸えない辛さは、どなたも経験したことがあるのではないでしょうか?

そうはいっても、30分ごとに休憩を挟むのは難しいですよね。そうなると、イライラする、落ち着かないなどの気持ちを抱えながら仕事をしなければならないのですから、ニコチン依存症が思いのほか深刻だということが分かります。

ニコチンの依存性の強さは薬物に匹敵

ヘロイン、コカインなどの、いわゆる麻薬と言われる危険薬物。ヘロインやコカインは、強い依存性があるから危険ということはご存知ですよね。実はニコチンの依存性は、ヘロインやコカイン以上だという海外のデータがあります。

それだけの依存性を持つのですから、本来なら国が禁止していてもおかしくありません。しかし、薬物と比較して人々がタバコに対して寛容であること、タバコを禁止することによって経済や治安に悪影響が及ぶ恐れがあることなどの理由から、なかなか禁止に踏み切れないようです。

依存だけじゃない!ニコチンの危険性

依存だけじゃない!ニコチンの危険性
ここまで、ニコチンは依存性があるから有害というお話をしてきました。しかし、それだけではイライラや落ち着きのなさなどの禁断症状が出るくらいしか、問題がないように思えますよね。

ニコチンが有害と言われているのは、依存性があるからという理由だけではありません。ニコチンには、血管収縮作用もあるからです。

"また、強い血管収縮作用があるため毛細血管を収縮させ血圧を上昇させます。"
引用元:e-ヘルスネット(厚生労働省)

ニコチンを吸い込むと血管が収縮し、血圧が上昇。血管や心臓に負担がかかって、脳卒中や心筋梗塞、心不全など、循環器系の病気にかかりやすくなります。

また、心筋梗塞や脳梗塞の原因にもなります。ニコチンの摂取によって、動脈の血管が硬化する「動脈硬化」が促進され、血管が詰まりやすくなるためです。

さらに、ニコチンの分解や代謝によって生み出される「ニトロソアミン類」という化合物には発がん性があります。ニコチンの摂取は、がんのリスクも高めてしまうのです。

厚生労働省が運営している健康情報サイトのe-ヘルスネットでは、ニコチンは「毒物」と明言されています。

"アルカロイドの一種で、神経毒性の強い猛毒です。化学物質としては毒物に指定されています。"
引用元:e-ヘルスネット(厚生労働省)

毒物という言葉を使われると、ちょっと恐ろしくなりますね。

ニコチンは、吸い込むことで私達に様々な害を及ぼします。現在、喫煙の回数が多いと感じている方は、少しずつ回数を減らして、ニコチンの摂取量を減らしていきましょう。

最近では、禁煙したいという方のために、依存性を持つニコチンを使わない加熱式タバコが販売されています。普通のタバコと交互に吸う、紙タバコから加熱式タバコに変えるなどして、ニコチンの摂取量を減らしていけるといいですね。

低ニコチンのタバコの落とし穴

タバコの中には、「低ニコチン」が謳われている商品があります。いわゆる「軽いタバコ」と呼ばれる商品です。

低ニコチンと聞くと、ニコチンの含有量が少ないように感じますが、実は誤りです。普通のタバコも低ニコチンのタバコも、含まれているニコチンの量に差はありません。

では、なぜ低ニコチンが謳われているのかというと、フィルター部分に多めの空気穴を設けたり、空気を通す巻紙を使ったりすることで、吸い込むニコチンの量を薄めているからです。同じ回数、喫煙するのであれば、理論上は低ニコチンのタバコのほうが、吸い込むニコチンの量が少なく済みます。

しかし、軽いタバコを吸う方は、普通のタバコを吸う方に比べて、気づかないうちに深く吸い込んでしまう傾向にあるので、実際はどちらのタバコも、吸いこむニコチンの量にはあまり差がないと考えられています。

それでも、吸い方にさえ気を付ければ、普通のタバコよりもニコチンの摂取量を抑えられるので、ニコチンの摂取量を減らしたいという方にはおすすめです。

タバコに含まれる有害物質ってニコチンだけじゃないの?

最後に、タバコにはニコチンの他にも、たくさんの有害物質が含まれているというお話をしましょう。

タバコに含まれている物質は、合計約5,300種類。このうち、有害物質は約200種類にも及ぶと言われています。ニコチンが含まれていない加熱式タバコや、低ニコチンのタバコでも、安心して吸えるわけではないんですね。

200種類もあるタバコの有害物質のうち、よく知られているのはタールと一酸化炭素です。それぞれ、どんな害があるのか見てみましょう。

《タール》

いわゆる「ヤニ」のことです。タバコを吸っている方の歯が黄ばんでいくのは、喫煙によって、このタールが蓄積していくためです。タールは、健康への害が特に大きな物質の1つ。がんのリスクを高めると言われています。タバコ1本に含まれているタールの量は少ないものの、蓄積されていくことが問題です。継続的に喫煙することで、大量のタールを体内に溜め込むことになります。

《一酸化炭素》

「一酸化炭素中毒」という言葉があるように、一酸化炭素も大変な危険性を孕んでいます。一酸化炭素は、血液中にあるヘモグロビンと結合しやすいという性質を持ちます。ヘモグロビンは、全身に酸素を行き渡らせるための重要な成分。一酸化炭素がヘモグロビンと結びつくことで、酸素が全身に行き渡りにくくなり、慢性的な酸素不足の状態に。赤血球の増加などによって、動脈硬化のリスクを高めます。

ニコチンをはじめ、タール、一酸化炭素など、有害物質がたくさん含まれているタバコ。たくさん吸えば吸うほど、健康への害も大きくなってしまうので注意してくださいね。依存性があるとはいえ、吸い過ぎないように心掛けることが大切です。

「つい吸ってしまう…」という方は、NICOLESS(ニコレス)のようなニコチンゼロのタバコを試す、低ニコチンのタバコを正しく吸うなどして、まずは依存症から抜け出すことを目指してみましょう。

さがすもーく編集部
タバコに関する情報をお届けする「さがすもーく編集部」です。加熱式タバコ・電子タバコの紹介や、禁煙・健康リスクに関するコラムを更新しています。