タバコに含まれるタールが有害と言われているのはなぜ?

公開日: 2021.06.14
更新日: 2021.09.27
タバコに含まれるタールが有害と言われているのはなぜ?
目次

タバコに含まれる有害な物質として有名なタール。ニコチンや一酸化炭素の有害物質も知られていますが、タールは、より危険性が高いと言われています。なぜタールはそれほどに危険性が高いのか。こちらでは、タールが有害と言われている理由と、私達の体に与える影響について解説します

タールはなぜ有害?

タバコの煙には、ガス状の成分と粒子状の成分が存在しています。このうち、粒子状の成分を「タール」と呼びます。粒子状の成分には、環状芳香族炭化水素やフェノール、ベンゼンなど、多数の物質が含まれています。タールはこれらの物質の総称なのです。

喫煙者なら、「ヤニ」と言われたほうが分かりやすいかもしれません。タバコの煙を集めて冷やすと、ねばねばとした黄色い液体のヤニになります。このヤニが、実はタールなのです。

様々な物質の総称であるタール。その中には、ベンツピレン・アミン類・ニトロソアミンなどの発がん性物質も多く含まれています。タールの中に含まれる発がん性物質の数は、約70種類にもなるそうです。

"タールに含まれる発がん性物質の代表的なものにはベンゾ[a]ピレン・芳香族アミン類・たばこ特異的ニトロソアミン類などがあり、他にもがんを引き起こす可能性のある物質が約70種類含まれています。"
引用元:タール|e-ヘルスネット(厚生労働省)

タバコを吸うとがんのリスクが高まるということはご存知ですよね。国立がん研究センターによると、がん患者のうち、タバコが原因だと考えられている人の割合は、男性で30%、女性で5%だそうです

"日本の研究では、がんになった人のうち、男性で30%、女性で5%はたばこが原因だと考えられています。"
引用元:たばことがん もっと詳しく知りたい方へ|がん情報サービス(国立がん研究センター)

・発がん性物質が多く含まれていること
・がん発症のリスクを高めていると研究により明らかになっていること

以上から、タールは有害と言われています。

健康への影響はニコチン<タール

同じく有害物質と言われているニコチンですが、実はニコチンは、発がん性よりも依存性が問題視されている物質。健康への影響だけに注目した場合、ニコチンよりもタールのほうが、影響は大きいです。タールには依存性こそありませんが、前述のように発がん性物質がたくさん含まれています。

また、タールは吸い続けることで蓄積してしまう点も問題です。タバコを吸い続けていると、歯が黄色くなりますよね。これは、ヤニ(タール)が歯に蓄積してしまっていることが原因です。

タールが蓄積するのは歯だけではありません。肺にも蓄積していきます。当然、タールが蓄積していない状態の肺に比べて、タールの影響を受けやすくなるのですから、がんの発症リスクが高まってもおかしくないですよね。

周りの人の健康を脅かす可能性も

タールの影響が及ぶのは、吸っている本人だけではありません。周りの人の健康も害してしまう可能性があります

タバコは、吸っている本人が吸い込む「主流煙」の他に、タバコの先端から立ち上る「副流煙」があります。副流煙には、主流煙よりも多くの有害物質が含まれます。タールの場合、主流煙を1とすると、その3.4倍の量が、副流煙に含まれると言われています。
周りの人の健康を脅かす可能性も

"受動喫煙で人体に吸い込まれる副流煙には、喫煙者が吸い込む主流煙と比較して、より有害性の高い物質が多く含まれています。中でもニッケルは30倍、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍、カドミウムは7倍、アンモニアに至っては46倍含まれています。"引用元:受動喫煙|職場のあんぜんサイト(厚生労働省)

実際は空気によって薄まるので、副流煙を吸い込んだ時に体内に入り込むタールの量はこれより少なくなります。しかし、狭い室内などでは、主流煙の3.4倍ものタールを、そのまま吸い込んでしまうこともあるそうです。こうした考えから、副流煙は主流煙よりも有害と言えます。

副流煙でタールを吸い込んだ場合も、主流煙で吸い込んだ場合と同様、健康に影響が及びます。タバコを吸う時は、せめて周りの人に害がないよう、配慮を忘れないようにしたいですね。さがすもーくを活用して、気兼ねなくタバコを吸える場所を探してください。

低タールのタバコは安全?

タールが健康に影響を与えるなら、低タールのタバコは、より体への害を抑えて吸えるのはないかと思いますよね。

誤解されやすいのですが、低タールのタバコとは、普通のタバコに比べてタールの量が少ないわけではありません。タールを吸い込みにくいよう、フィルターなどに工夫がされているだけです。

例えば、紙巻タバコは側面のフィルター部分に穴が開いています。この穴は、空気を取り入れるための「通気孔」です。通気孔が多いタバコは、吸いこむ煙に空気が多く混ざるので、理論上は、タールなどを吸い込む量も少なくなります。しかし、実際は無意識のうちに穴をふさいだり、いつも以上に深く吸ったりしてしまうことから、普通のタバコと変わらない量のタールを吸い込んでしまう可能性が高いそうです。

そして、穴をふさぐ、深く吸うなどの行為は、より多くの副流煙を発生させてしまいます。低タールのタバコは、普通のタバコよりも副流煙の発がん性物質が多いので、自分だけではなく、周囲の人にもいっそうの害を与えてしまうことになります。低タールのタバコは、吸い方次第で普通のタバコよりも危険、ということをしっかりと認識した上で吸ってくださいね。

電子タバコならタールゼロ

「タールの影響は恐ろしいけど、タバコはやめられない…

そんな方には、電気の力で蒸気を発生させる「電子タバコ(VAPE)」をおすすめします。電子タバコの何よりの特徴は、タバコ葉が使われていないということ。代わりに無害な成分や香料が含まれるリキッドを加熱することで、蒸気を発生させています。

現在主流の紙巻タバコは、筒状に巻かれた紙の中にタバコ葉が包まれています。このタバコ葉を燃やすことで煙を発生させています。

タバコ葉を燃やした時、煙とともに放出されるのがタールです。電子タバコは、このタバコ葉を使っていないので、タバコ葉を燃やした時に放出されるタールがゼロ。普通のタバコよりも健康への害が少なく、タバコ特有のニオイも気にせずにすむことから、最近は使用する方が増えています。

タールだけではなく、ニコチンも含まれていないので、依存性を心配する必要もありません。ただし、海外の電子タバコは、ニコチンが含まれているリキッドを使用するのが一般的。タールだけではなく、ニコチンの影響も気になるという方は、必ず日本の電子タバコを購入してくださいね。

加熱式タバコとの違いに注意

加熱式タバコとの違いに注意
電子タバコと同じく、電気の力で蒸気を発生させる「加熱式タバコ」という製品もあります。IQOS(アイコス)が代表的ですね。加熱式タバコは、紙巻タバコに代わる健康への影響が少ないタバコとして、近年とても注目されています。

同じ電気の力を利用していることから、電子タバコと加熱式タバコは混同してしまいがちですが、加熱式タバコは電子タバコと違い、タバコ葉を使用しています。直接火をつけて燃やすわけではないので、紙巻タバコよりもタールの量を9割以上減らせますが、電子タバコのようにタールの影響がゼロというわけではありませんので、ご注意ください

タバコに含まれる有害物質の中でも、特に健康への影響が大きいタール。蓄積するという性質も、タールが恐ろしいと言われている理由の1つです。継続的にタールを吸い込み続けることで、健康を害しやすくなります。将来、健康的に過ごすためには、より健康への影響が少ない電子タバコや加熱式タバコに変更するといいですよ。

特に電子タバコは、三大有害物質と言われるタールとニコチンの両方が一切含まれていないこと、副流煙による影響や独特のニオイがしないことから、吸いやすいのでおすすめです。周りの人にそれほど気を遣う必要もないため、気軽に吸えます。健康のためにタバコを変えたいと考えている方は、電子タバコへの変更を検討してみてはいかがでしょうか?

さがすもーく編集部
タバコに関する情報をお届けする「さがすもーく編集部」です。加熱式タバコ・電子タバコの紹介や、禁煙・健康リスクに関するコラムを更新しています。